まだ十二時・・・もう十二時・・・

昨日の真夜中十二時を回ってから電話がなった。NTTの電話回線で諸々の電話を受けているが、電話機が4回目鳴動すると私の携帯電話に転送されてくるように設定してある。当然できる限り4鳴動しないうちに受話器を取るようにしているが、昨夜は間に合わず、私の携帯電話がなった。基本的にこんな時間にかかってくる電話で仕事が成立したためしがないが、サービス業である立場上、やっぱり電話を受けてしまう。
電話の主は男性で、「ごみ屋敷になっているがいくらかかるか?」、「ごみ屋敷で電話が来るのは男ばかりか?」、「いくらかかるのか?」等、質問されたが、玄関からひざまであるゴミを抱えた1ルームアパートとのことで、「2~3十万はかかるだろう」と言ったところ、「それなら引っ越したほうが安い」と、のたまった。更に「2万ぐらいなら頼みたい」と。
私は「貴方の給料から考えても4人が2台のトラックで出かけて2万でできるわけないでしょうが」と、だんだん腹が立ってきた。
「ワンルームなのに4人も必要なのか?」と。汚い仕事なので、短時間で解決しないととてもつらい。
何年もかかって踏み固めたゴミの山は、取り除こうとしても中々成果が見えないもの。圧縮されているのでいくらとってもしたから沸きあがってきてしまうのだ。
よっぽど「あんたの食い散らかした臭い物、発酵した飲み物のゴミ、汚物や体液の付着したおびただしいちり紙まであるんだよ!」と、口から出そうになるのをじっとこらえた。
「もう12時を回っているんですよ。私は寝ているところを起こされたんですよ」というと、彼は「まだ12時だから良いと思って、どのくらいかかるのか聞いてみたかっただけで、頼む気はない」と。
こんな時間が「まだ12時」で済まされるような神経がごみ屋敷につながるのだろうと思った。
結局私が高い通話料金を払うにも拘らず、何も得ることのない通話でしかないのを良く知っている。
寝付いて30分前後たっていただろうか?やむ終えずジンをあおって再び床に着いた老人である。